”オプションパーツ”生命維持装置設定資料

 1.生命維持装置の概要
 生命維持装置は、一次生命維持装置と二次生命維持装置の二重化システムにより高信頼化が計られている。
両装置は単なる同型装置の二重装備ではなく、一次が恒久的生命維持を受け持ち、二次が制限時間付きながら無呼吸での生命維持を可能にしている。
機器配置は、胸部の中心線上、上半分に二次装置、下半分に一次装置である。
二次装置に付属する原液タンクと廃液タンクは、右と左の乳房容積の大部分を占めており、サイボーグボディが女性型しか生産されない一因となっている。
胸腹機器配置図上半身縦断面図

 2.一次生命維持装置
 気道から取り入れた外気を呼吸し、臍からディスペンサーを挿入して交換する固形食料”タブレット”から栄養素を供給する方式の生命維持装置。
血液循環系と中間液循環系の二段階の循環系を持つ。
血液循環系は脳→大静脈→人工肺→下り切り替えバルブ→ロータリー血流ポンプ兼物質交換装置内室→造血ユニット→上り切り替えバルブ→大動脈→脳の経路で循環する。
中間液循環系は消化ユニットを接続しない基本構成においては中間液注入ポンプ→ロータリー血流ポンプ兼物質交換装置外室→造血ユニット外室→中間液排出ポンプ→タブレットホルダー→中間液注入ポンプで循環する。
消化ユニットを接続するときは中間液排出ポンプ→消化ユニット→中間液注入ポンプの経路が併設される。
中間液は消化液と呼吸液を兼ねており、タブレットに含まれる善玉菌の作用によって生体の腸吸収に準じた条件で栄養分を吸収、ロータリー血流ポンプ兼物質交換装置および造血ユニットの内外室間を仕切る膜で物質交換後はタブレットホルダーに戻る。
タブレットホルダーに戻った中間液は善玉菌の作用によって老廃物が固形化しタブレットに吸着される。このとき善玉菌の呼吸用酸素も共に運ばれる。
このため、タブレットを24時間ごとに交換することで食事と排泄を完全に代替できる。
消化ユニットを接続使用しているときは当然食事と排泄が必要となる(詳細は消化ユニットの項目参照)。
造血ユニットは、素体の骨から採取した骨髄組織を使用した自己組織ユニットで、血球の補充を担う。
改造手術の約40日前に行われる改造準備手術で切断される四肢の骨から4基と改造手術後に不要となる骨盤から1基の計5基が製作され、内1基が搭載される。
他の4基は予備となり、メンテナンスセンターの培養施設で再生・保存され、定期整備の際に入れ替える。
造血ユニットの入れ替え・再生は、宇宙生活中の放射線被曝による劣化の対策であり、最長でも4年以内で行うことが規定されている。
一次生命維持装置は脳脊髄の消費分以外に造血ユニットとタブレットの善玉菌のため、また消化ユニット接続時はさらに消化ユニット内の生体組織の分を加えた酸素呼吸が必要で、体内備蓄でまかなうことが難しいため人工肺による外気呼吸を採用している。
人工肺が十分な呼吸を出来る最低空気圧は0.2気圧で、宇宙艦内や衛星工場内の空気圧はこれに合わせられている。
人工肺に空気を取り入れる気道には真空中に出たとき内圧を保つためのロックバルブがあり、気道と人工肺の接続部には防毒ユニットが設けられている。
気道のロックバルブより少し上には声帯の神経信号を音声化するスピーカーがあり、大気中では通常の会話が可能である。
このスピーカーの駆動信号は同時に無線LANへブロードキャストされ数メートル以内にいるサイボーグ同士は真空中でも会話が可能である。また、近くに無線LAN基地局があるときはこの信号を体内CPUで1体1の音声通話プロトコルに乗せ遠方のサイボーグやVOIP端末と通話することもできる。
真空中に出るときは気道に設けられたロックバルブを閉じて減圧を防ぎ、造血ユニットとタブレットをペルチェ素子で冷却して活動を休眠させた上で二次生命維持装置に役目を引き継ぐ手順が必要である。
但し、腰部に推進剤を電気分解する酸素発生器を搭載したときは、ここから人工肺に酸素を送ることで真空中の運用が可能となる。
このとき、呼気の吐き出しはロックバルブを少しゆるめて行うが、呼吸とのタイミング合わせを誤ると危険なため二次生命維持装置の故障や活動時間超過といった緊急時以外は使用しない。
水中では、水質や水中酸素濃度の条件が良ければ人工肺がある程度機能するが、辛うじて生命維持が可能なだけで本格的な活動が出来る性能はない。
一次生命維持装置

 3.二次生命維持装置
 栄養液と呼吸液を兼ねた原液を供給し、透析によって血液中に酸素と栄養を供給、炭酸ガスと老廃物を吸収した廃液を排出する簡単な構造の生命維持装置。
外気呼吸が不要なため宇宙遊泳中に使用するほか、改造手術中の脳脊髄ケース組み上げ直後に接続して外部生命維持装置の切り離しを行う、定期整備の一次生命維持装置交換作業時などつなぎの生命維持にも使用する。
循環系は血液のみで、脳→大静脈→下り切り替えバルブ→ロータリー血流ポンプ兼物質交換装置内室→上り切り替えバルブ→大動脈→脳の経路で循環する。
原液は遺伝子組み替えブタの血清に、高圧酸素を封入し強磁界で解放するガス輸送マイクロカプセルを混ぜたもので、ロータリー血流ポンプ兼物質交換装置内室の外室入り口にある界磁でマイクロカプセルを解放することにより小容積で呼吸に十分な酸素を供給する。
酸素と栄養分を血液に与え炭酸ガスと老廃物を吸収すると原液は廃液となって出口から排出される。
本装置は真空中で運用可能、構造が簡単なため信頼性が高く定期整備周期が長い利点があるが、栄養補給能力が点滴相当かつ老廃物除去も不完全で血球補充もできないため恒久的生命維持は出来ない。
また、原液がタブレットよりかさばるため予備の携行が難しく、体内タンク容積で運用時間が制限される欠点もある。
ロータリー血流ポンプ兼物質交換装置はロータリーポンプ型人工心臓の外壁を物質交換膜とすることで、人工心臓、液体呼吸式人工肺、人工腸、人工腎臓の4機能を一体化・小型化した装置で、一次生命維持装置と部品が共通化されている。
ローターの軸受けを磁気浮揚式として潤滑不要かつ血栓が出来にくい構造とした。
駆動コイルと制御回路、バックアップバッテリーは上下に独立な二組があり、片側が故障しても機能を失わない仕組みである。
二次生命維持装置

 4.原液タンク、廃液タンク
 二次生命維持装置に付随するタンクで、48時間用の標準型と60時間用の大型がある。大型を使用するには胸部外装をこれに合わせる必要がありいびつな巨乳体型となる覚悟が要る。
廃液を投棄せずタンクに貯める理由は、真空中での急減圧事故の予防、持ち帰って肥料としてリサイクルし宇宙艦の搭載物資を節約、および地上生活中に使用したときの環境汚染防止である。

 5.消化ユニット
 素体から摘出した腸と肝臓を使用した自己組織ユニットで、改造手術後の不要となった胴体から3基製造される。
口から取り入れた飲食物は粉砕装置で完全にペースト化した後、腸組織で吸収され肝臓組織で処理されて中間液の循環に乗せられる。
吸収されなかった残滓は腰部にセットで搭載されるアルコール製造ユニットにおいて醸造原料とし抽出したエタノールが足の燃料電池に送られる。
醸造ユニットの残滓は陰部の廃液タンクに貯めて排泄する。
 本ユニットは放射線に弱い組織を使用しているため長期の宇宙活動中に装備することはリスクが大きい、酸素消費が増える、足の電源がプルトニウム電池になると副産物のエタノールは使い道がない、ジャイロスタビライザーと搭載位置が重なるといった理由により地上生活専用となっており、宇宙で任務に就く際はメンテナンスセンターの培養施設で再生・保存される。
地上生活時にジャイロスタビライザーを残したいなどの理由により本ユニットを搭載しないときは、腰部にアルコール分離ユニットを搭載し食道を直結する。
この場合、飲食は酒に限定され、燃料は確保されるが生命維持はタブレットに頼ることになる。


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