不知火主計長の休息

 恒星間航行艦は片道40年以上もの長期航行を行う。
小規模なスペースコロニーとも言える重力ドラム式居住コンテナを中間コンテナとして複数連結している。
貴族士官の居住エリアでは農耕が可能な人工地盤の中央に身分相応の公館が建てられ小規模ながら荘園の趣を呈している。
非番の時、貴族はそこで地上の公邸と変わらぬ優雅な生活をする。
まして旗艦だけでなく艦隊乗員全ての生活習慣維持を監督する総主計長・不知火である。
全員の模範となる生活ぶりを見せなければならない。
生来の貴族である不知火は当然幼少時より多様なお稽古事をこなして育った。
帝國貴族の常としてそれ自体が有効な素体訓練であるバレエのレッスンは3歳から続けている。
人工骨の髄にすら染みついた生活習慣だ。
当直を終えて初めにすることといえばレッスン用ボディにすげ替えてのバレエストレッチであることは言うまでもない。
 艦の加速性能上の制約から貴族士官といえども持ち込める私物質量には限りがある。
帝都ホテルの異星系進出という私的目標を抱えた不知火は持ち込み貨物が最も多かった。
持ち物が少ないシビリアン兵から枠を買い集めてもまだ足りない。
やむを得ずレッスン用ボディからは腕やジャイロスタビライザー、消化器官を取り除いて軽量化している。
このレッスン用ボディは非常にバランスが取りにくく、名手でなければ到底バレエができる代物ではなかった。
だが、それが却って程良い生体大脳のトレーニングとなり老化を防いだのは怪我の功名か。
不知火主計長・腕なしボディでバレエのお稽古
え?総料理長の日常生活用ボディが消化器官なしで良いのかって?。
不知火曰く、「舌は首に憑いているからボディが何であれ味見はできるのよ。
それに調理場に立つときは勤務中だから恒星間飛行用ボディ使うでしょうが。」
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